株式ほどその所在が不確定で、しかも、その権利が強力な権利はありません
株式所有は目に見えない
株式会社においては株券の不発行が原則であり、
定款で株券を発行すると特に定めなければ発行する必要がありません。
それから、勘違いしている人が多いのですが、
登記簿にも株主が誰で何株(何%)持っているかというのは公示されていません。
「それで社長は何株持っているのですか?」などと聞くと
「あれっ?たしか甥っ子に…」などと言って正確に把握されていない方も多いのです。
そういう場合にどうやって現状の株主構成を調べるのかというと、
決算書で確認します。ところが、この決算書というのがまた曲者で、
当然、決算書の作成は税理士に作ってもらうのですが、
その税理士が他の株主と結託しているなんていうことも実際あるのです。
名義だけのはずだったじゃないか!
株式会社においては、実際には出資も何もしていないのに、
名義上株主にしているなんてことがよくあります。
ですが、一旦、株主のとしての権利が発生してしまった以上、
それは名義だけで実際には株主ではないのだと証明するのはかなり困難です。
それまでは、会社に何の関心も示さなかったのに、
会社の業績がよくなると急に色気が出て、
株主としての権利を主張されたらどうされますか。
信じていたのにと悔やんでも悔やみきれません。
そして、会社は乗っ取られる。
会社は、会社法上株主のものです。ですので、社長などと言っていても、
株主総会で取締役を解任されてしまえばそれでおしまいです。
中小企業の場合には、普段全く気にしていない株主総会ですが、
とてつもない強力な権限がありますので、十分に気をつけなければなりません。
しかも、背任だとか不正行為と言われてしまう。
そして、会社をとられて追い出された後は、それまでの社長の業績を無視して、
会社の金を勝手に使ったとか、業績不振を招いたのは社長のせいだなどと、
損害賠償請求までされて丸裸にされるケースもあります。
こうなったら目も当てられません。