やれるところまでは社内でやってから…
「売上が立てばあとは請求書を発行してお金が入ってくるのを待つだけ」
と回収が何らの努力も工夫もなしに、当然のようになされると考えている会社は
極めて多いです。
したがって、回収のために特に社内で系統立てた手続きを定めるでもなく、
専門の人員を割り当てるでもなく、
入金がなされなくても、なんとなく時間が過ぎてしまい、
ある程度時間が経ったところで、あれ「おかしいな」と売り掛け先に連絡をする。
何度か連絡をするけど、担当者がつかまらなくて、
またなんとなく本業の多忙さにとりまぎれて、そのまま放置状態になる。
それで、何かの拍子にまた思い出して、また、慌てて連絡をしてみたところ、
「今、資金繰りが大変なので、とりあえず、これだけ払わせてくれ」などと、
わずかの入金を受けて、さしたる書面を作成するではなく、
小さな金額が何回か入金される。
しかも、その入金さえも、滞りはじめ、また連絡をしたところ、
「その金額さえもはらえないほど今は苦しい、だけど、
来月にこれこれの入金があるからそれで支払うので、それまで待って欲しい」と
言われて、また待つ。
なんとなく不安に思っていたものの、やはりというか、
「実はあてにしていた入金がなくて…」との返事が売り掛け先からなされ、
「それではどうするのか」と詰め寄ると、
このような返済計画ならとあらたな返済計画案が出されて、
中身はというと分割でしかも信じられないような長期の返済計画になっている。
こんなの飲めないと返事をすると
「じゃあどうしようもない」「そもそもお宅の商品は全然売れない」などと
逆ギレされる始末。
会社名義で支払いを促す内容証明郵便を出してもなしのつぶてで、
これまでの担当者は辞めたと言われるはめになり、
どうにもこうにもできなくなって、弁護士事務所に相談をする。
一般的な会社での回収業務というのはこのようなところではないでしょうか。
弁護士事務所相談室での光景
そこで、かくかくしかじかの業務の流れを伺って、
「契約書とかその他の書面を拝見させて頂きますか」と言っても、
出てくるのは支払いの条件とか、
その他の取り決めが読み取れないような書面、
または、そもそも書面は特にないとか、信頼関係でやっていた」とはいうものの、
今更、どうにもならない話である。
また、今、売り掛け先の会社の状況はどうなっているのかと答えても、
要領を得ず、会社の謄本も見たことがないとか。
社長も、「なんでこうなるまでほとんど何もしなかったのか」などと
担当者の従業員を責めるが、担当者としても本来の営業や総務の片手間に
回収業務をやっているわけでそこまで責めるのは酷な話である。
具体的な流れ
本来は、契約書や回収の流れを固めるところから整備するのが良いのです。
ただし、すでに走っている商売の場合の中で、いきなり、
契約書をこちらに替えて下さいというのも唐突な話ですので、
契約の更新であるとかそのタイミングを見計らって内容を整備するとか、
あるいは、きちんと後日トラブルにならないように、例えば
受発注書の形式を改善する等の動きをしていく方が自然でしょう。
早めにしかも計画的に移行する
法律事務所がいきなり取り立てるというのはかなり相手にとっても
驚かれてしまうかもしれません。支払うについては、
約定日から何日経過した場合には自動的に回収の担当を法律事務所(顧問弁護士)
に移管すると伝えておきましょう。
そして、実際に、入金が確認されない場合には、
一度は会社として督促を出しますが、それが確認できない場合には、
回収案件リストとして法律事務所に移管して下さい。
ここでだらだら様子を見ていても
結果として良かったということは何一つありません。
移行してしまえば、あとはお任せです。
これで貴重な社内の人材を本来の業務に集中させることができます。